7棟目が先に開花!今シーズン最初のいちごの花と、気になる開花率

ようやく、今シーズン最初の開花です

7棟目が先に咲いた!
越後姫が今シーズン初開花。
でも「開花率5割以下?」の謎が残りました

「咲いたー!」
と喜びたいところなんですが……。

今度は、
「なんで全体ではこんなに少ない?」
という疑問が出てきました(笑)

この記事の要点

後から定植した7棟目で、6棟目より先に今シーズン最初の開花を確認しました。
苺の花ことばでは、開花から毎日の平均気温を足した積算温度約650℃を、収穫開始時期を考える一つの目安にしています。
定植前の花芽分化確認では、最低4以上、平均5以上を目安にしていました。
それでも現時点の開花率は想定より低そうで、花芽分化後の発達や株ごとのばらつきまで含めて原因を見ていく必要があります。

まずは4コマでどうぞ(笑)

6棟目ばかり見ていたら、
後から植えた7棟目が先に咲いていました(笑)

後から定植した7棟目で越後姫が先に開花した様子を描いた4コマ漫画

「高橋さん、7棟目咲いてましたよ!」

「高橋さん、7棟目咲いてましたよ!」

と、クルーから報告を受けました。

何のことかというと、定植したいちごの苗が、いよいよ開花し始めたんです。

今回、最初に定植したのは6棟目。

その数日後に、7棟目を定植しました。

なので私は当然、

「6棟目の方が
先に咲くだろうなぁ〜。」

と思っていました。

だから、6棟目を重点的にチェック。

「まだかな?」

「そろそろかな?」

そんな感じで見ていたんです。

ところが、先に咲いたのは7棟目(笑)

そんな時、苗管理をしていたクルーから、

「7棟目、咲いてましたよ!」

との報告。

「えっ!」

「7棟目の方が先?」

と思って、すぐに確認しに行きました。

すると……。

咲いてました。

今シーズン最初に開花した越後姫の花
今シーズン最初の開花です。

ようやく、今シーズン最初の開花スタートです。

いや〜。

ここまで、思っていたより長かったです(笑)

後から植えた方が先に咲くこともある

「先に定植したんだから、先に咲く。」

普通に考えれば、そう思いますよね。

でも、植物は人間のスケジュール表だけで動いているわけではありません。

定植した時点での花芽の進み具合。

苗の大きさ。

クラウンの太さ。

根の状態。

定植後の活着。

ハウス内の温度。

場所による環境差。

そういった条件が少しずつ違えば、数日遅く植えた株が先に咲くことも考えられます。

定植日
=
開花順

とは限らない。

今回も、また一つ勉強になりました。

開花したら、次は「収穫まで何日?」

花が咲くと、いよいよ次に気になるのは、

「いつ赤いいちごになるのか?」

です。

苺の花ことばでは、その予測に一つの目安として、

開花から収穫まで

積算温度 約650℃

を使っています。

ここから、収穫までのカウントが始まります。

積算温度って何?

積算温度というと、ちょっと難しく聞こえます。

でも、苺の花ことばで使っている考え方はシンプルです。

開花した日から、毎日の平均気温を足していきます。

例えば、

1日目 平均10℃ → 10℃

2日目 平均15℃ → +15℃

合計 25℃

という感じです。

これを毎日足していきます。

そして、合計が約650℃に近づいてきたところを、収穫開始時期を考える一つの目安にしています。

なので、

暖かい日が続けば、積算温度は早くたまります。

寒い日が続けば、ゆっくりたまります。

単純計算すると、こんな感じ

例えば、ずっと平均気温が同じだったと仮定してみます。

平均気温 650℃に達するまで
10℃ 約65日
12℃ 約54日
15℃ 約43日

もちろん実際には、毎日の気温は変わります。

日射も違います。

果実の位置も違います。

株の状態も違います。

なので、この日数通りに必ず収穫できるわけではありません。

それでも、

「今年の初収穫は、
この辺かな?」

と予測するには便利です。

ちなみに「積算温度」にも計算方法があります

ここは少しだけ専門的な話です。

農業や研究で「積算温度」「GDD」と呼ばれるものには、いくつか計算方法があります。

研究では、

「植物がほとんど生育しない基準温度」

を決めて、毎日の平均気温からその温度を引いて積算する方法もよく使われます。

いちごの研究でも、基準温度として3℃や5℃などを使った例があります。

一方、苺の花ことばで今回話している約650℃は、

毎日の平均気温を
そのまま足していく
農園内の実務上の目安

です。

なので、研究で出てくるGDDの数字と、そのまま比較するものではありません。

大事なのは、同じ計算方法で毎年記録して、

「うちの場合は、どのくらいで赤くなるか。」

を見ていくことだと思っています。

暖かければ、早く収穫できる。でも……

基本的には、開花後の気温が高ければ果実の発育は早くなり、収穫までの日数は短くなります。

逆に低温なら、時間がかかります。

ただし、

「だったら暖かければ暖かいほどいい。」

という話でもありません。

いちごでは、高すぎる温度によって果実が小さくなったり、品質へ影響したりすることもあります。

早く赤くする
と
いいいちごを作る

は、同じではない。

ここも面白くて難しいところです。

そして、喜んでばかりもいられない

とりあえず、今シーズン最初の花が咲きました。

「良かった〜。」

と思います。

でも。

今度は別の問題が気になっています。

それが、

開花率。

です。

私の感覚では、8〜9割くらい欲しい

私の中では、定植した株の8〜9割くらいがしっかり開花してくれれば、まずは合格ラインという感覚です。

もちろん、これは苺の花ことばでの栽培上の目安です。

全国共通の基準という意味ではありません。

ところが今のハウスを見ていると……。

下手したら、
5割を切るかも。。。

「なんでだろう?」

という感じです。

花芽分化の数字は、悪くなかった

今回、何も確認せずに植えたわけではありません。

定植前には、花芽分化のステージを顕微鏡で確認しています。

苺の花ことばでは今回、

最低でも4以上。

平均で見ても5以上。

になることを一つの目安にしていました。

だから数字だけ見れば、

「ある程度揃って咲いてくるだろう。」

と思っていました。

でも、実際のハウスではそうなっていません。

難しいですね。

ただ「ステージ5だった=必ずすぐ咲く」ではない

ここで、一つ分けて考えないといけないことがあります。

花芽分化の確認は、

「その時点で花芽がどこまで分化していたか。」

を見るものです。

でも、その後には、

花芽がさらに発達する。

花房が伸びる。

出蕾する。

花が開く。

という過程があります。

花芽分化している
と
順調に開花する

は、完全に同じではない。

ということです。

平均値では、株ごとのばらつきまでは見えない

さらに、平均値にも注意が必要です。

例えば10株を調べて、平均が5だったとします。

でも、

全部が5。

なのか、

3の株もあれば7の株もある。

なのかでは、意味が違います。

今回も最低値を確認しながら進めていましたが、それでも検鏡できるのは全株ではありません。

ハウスに植える苗は何千株もあります。

調べた苗
と
実際に植えた全株

には、どうしても差があります。

だから、定植後に実際の開花率を見る意味があります。

花芽分化した後の環境も関係する

さらに、花芽が分化した後の温度も無関係ではありません。

他品種を使った研究では、花芽分化を誘導した後に高温へ長くさらされると、花芽の発達が遅れたり、正常に花房が発達する株の割合が下がったりする結果があります。

特に、定植後しばらく高い平均気温が続いた場合に影響が大きくなる例が報告されています。

ただし、これは「さちのか」などを使った試験です。

越後姫へ、その温度や日数をそのまま当てはめることはできません。

それでも、

分化した時点で終わりではなく、
その後の環境も見る必要がある。

という考え方は参考になります。

今のところ、確認したいのはこの辺り

今回の開花率が低く見える原因は、まだ分かりません。

なので、決めつけずに見ていきます。

① 本当に「開花しない」のか、それとも単に遅れているのか
数日〜1週間で開花率が一気に上がる可能性もあります。
② ハウス内で場所による差があるか
ヒートポンプ付近、中央、端などで開花の進みが違わないか確認します。
③ 冷蔵処理後から定植後の温度
花芽分化後の発達を遅らせるような高温条件がなかったか振り返ります。
④ 苗の大きさやクラウン、根の状態
同じ花芽ステージでも、苗の勢いや活着によって開花までの進み方が違う可能性があります。
⑤ 検鏡した苗と全体のばらつき
サンプルでは良くても、全株で同じだったとは限りません。

こういうところを見ながら、少しずつ原因を絞っていこうと思います。

今すぐ「5割しか咲かない」と決めるのも早い

そして、もう一つ。

今の段階で、

「開花率が5割しかない!」

と決めるのも、まだ少し早いと思っています。

今は、咲き始めたばかりです。

先に咲いた株。

数日遅れて咲く株。

さらに遅れる株。

それが混じっている可能性もあります。

今見えているのは、
最終的な開花率ではなく、
「途中経過」かもしれない。

なので、もう少し追いかけてみます。

「咲いた!」で終わらず、次の数字を見る

今シーズン最初の開花。

これは素直に嬉しいです。

ここまで育苗して。

冷蔵処理して。

花芽を確認して。

定植して。

ようやく花が咲きました。

でも栽培では、

「1株咲いた!」

だけではなく、

いつ咲いた?

何割咲いた?

場所による違いは?

そこから何日で収穫できた?

まで見ていく必要があります。

今年のデータを残せば、来年の定植日や温度管理、花芽確認のやり方にも使えます。

いよいよ「収穫までのカウント」が始まった

いろいろ気になることはあります。

それでも、まずは開花しました。

ここから約650℃。

毎日の温度を積み上げながら、収穫開始を予想していきます。

まだ白い花。

そこから受粉して。

小さな緑の実になって。

少しずつ大きくなって。

最後に赤くなる。

ようやく、
越後姫の収穫までの
カウントが始まりました。

あとは、何℃で、何日で赤くなるのか。

今年もしっかり追いかけていきます。

PS:

最初の一輪を見つけると、やっぱり嬉しいです。

「やっと咲いた!」

ってなります。

でも、その数秒後には、

「で、他の株は?」

って見始める(笑)

そして今回は、

「……あれ?少なくない?」

です。

農業って、安心できる時間が短いですね(笑)

とりあえず、もう少し株を見ます。

そして本当に開花率が低いのか。

ただ遅れているだけなのか。

原因を少しずつ探っていこうと思います。

まずは、今シーズン最初の開花に一安心です♪

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