雨で進まない。でも苗は待ってくれない。今年の気温から考える越後姫の定植スケジュール

次の定植へ向けて、予定を組み直しています

雨で進まない。
でも苗は待ってくれない。
今年の気温から考える定植スケジュール

土ほぐしは雨で止まる。
一方、苗の花芽は気温によって進んでいく。

農業って、なかなかカレンダー通りにはいきません(笑)

この記事の要点

4棟目の定植準備で大きく残っているのが、培地をほぐして棚へ詰める作業。ただし外作業なので雨では進められません。
大潟の2026年9月1〜20日の平均気温は23.5℃。2025年同期の26.0℃より約2.5℃低くなっています。
最低気温の平均も今年20.5℃、昨年22.6℃。今年は昨年より夜の気温が下がっていることが数字でも確認できます。
このまま花芽分化が進めば、促成栽培用の苗は予定していた10月上旬〜中旬より早く、9月末〜10月上旬に定植候補へ入ってくる可能性があります。

「これ、どうしようかな?」

「これ、どうしようかな?」

と、ホワイトボードの前で頭を悩ませています。

何のことかというと、この先の作業スケジュールです。

定植へ向けて、まだ大きく残っているのが、

4棟目の改修した棚への
土詰め作業。

です。

ただ、土を棚へ詰める前には、以前使っていた培地をほぐす必要があります。

前にも紹介した、外で機械を使ってほぐしていく作業です。

固まった培地を機械へ入れて、もう一度使えるように細かくほぐしていきます。

問題は、この仕事が「天気待ち」なこと

この土ほぐし。

外でやります。

だから雨が降っているとできません。

さらに機械を使うので、結構音も出ます。

なので、

「朝3時からやってしまおう!」

というわけにもいきません(笑)

明るくなって、周りへの音も問題ない時間になってから始めます。

ところが最近、雨の日が続きました。

「今日もダメか……。」

という日が続いて、思ったように土ほぐしが進まなかったんです。

できない仕事を待っていても仕方ない

だからといって、

「晴れるまで待とう。」

と、みんなで止まっているわけにはいきません。

雨でもできる作業があります。

そこで、その間に他のハウスの定植準備をどんどん進めました。

すると結果的に、

他のハウスは、
ほぼ定植できる状態まで完成。

してきました。

となると、今度はいよいよ4棟目がボトルネックになります。

他はできている。

4棟目だけ土が入っていない。

だから今は、別の仕事を進めつつ、外で作業できる状態になったら、

「今だ!」

という感じで土ほぐしへ向かっています(笑)

そして、苗の予定まで変わってきた

さらに、ここへ来て定植予定も少し変わってきています。

本来なら、冷蔵処理している苗は今週の頭くらいに定植する予定でした。

でも、実際に花芽の進み具合を確認すると、もう少し待った方がよさそう。

そのため、こちらは今週末くらいまでずれ込みそうです。

予定より、少し後ろへ。

一方で、普通に育てている促成栽培の苗。

こちらは逆です。

予定より早くなる可能性が
出てきました。

本当に今年は去年より涼しいのか、数字で比べてみた

ここ最近、夜になると、

「今年は去年より気温が低い気がするな。」

と感じていました。

そこで、苺の花ことばがある大潟の気象データで比べてみました。

比較したのは2026年と2025年の9月1日〜20日です。

大潟 9月1〜20日 2025年 2026年
平均気温 26.0℃ 23.5℃ -2.5℃
最低気温の平均 22.6℃ 20.5℃ -2.1℃

※夜間の平均気温そのものではなく、ここでは気象庁の日最低気温を「夜温の目安」として比較しています。

数字を見ると、やっぱり今年は去年より低い。

平均気温で約2.5℃。

最低気温の平均でも約2.1℃違います。

2℃って、数字だけ見ると小さそうなんですが、植物にとっては結構大きな違いです。

特に9月後半へ入ってから、夜が下がってきた

最近の感覚を見るため、9月15日〜20日だけでも比べてみました。

9月15〜20日の最低気温平均

2025年 約21.6℃

2026年 約19.7℃

約1.9℃低くなっています。

今年は18〜20℃前後まで下がる日も出てきました。

なので、

「最近、夜が涼しくなってきたな。」

という感覚は、実際の気温にも出ています。

ただし「去年より低い」と「平年より低い」は別

ここは、ちょっと大事です。

今年は昨年より2℃前後低い。

だから、

「今年はかなり涼しい年なんだ!」

と思いそうになります。

でも、そこまでは言えません。

北陸地方の9月7〜20日の平均気温は、平年と比べると約0.4℃高め

気象庁の区分では「平年並み」の範囲です。

今年がものすごく寒いのではなく、
去年がかなり暑かった。

という部分もあります。

なので、

「昨年より花芽分化しやすい温度条件にはなっている可能性がある」

くらいに考えるのが正確だと思います。

夜温が下がると、いちごの花芽分化はどうなる?

一般的な一季成り性いちごでは、夏の高温・長日の環境から、秋の低温・短日の条件へ変わっていくことで、花芽分化が進みやすくなります。

研究では、「女峰」「さちのか」「とちおとめ」などで、短日条件でも夜温が20℃以上になると、花芽分化が遅れたり、まだ分化していない株が混じったりする場合が確認されています。

逆に考えると、夜温が20℃前後からさらに下がってくることは、花芽分化にはプラス方向の条件です。

ただし、ここで注意。

「最低気温が○℃になったから、
○日後に必ず花芽分化する」

というほど単純ではありません。

品種。

苗の大きさ。

窒素の状態。

日長。

それまで経験した温度。

いろいろな条件が関係します。

まして、今紹介した研究は越後姫そのものの温度試験ではありません。

なので、最終的には苗の生長点を見て、実際に花芽分化を確認する必要があります。

越後姫は、もともと花芽分化が遅めの品種

越後姫は、もともと花芽分化が遅い品種です。

そのため、苺の花ことばでも早い作型では冷蔵処理を使って花芽分化を促しています。

一方、今回話している普通の促成栽培用の苗は、自然に秋が進んでいく中で花芽分化を待ちます。

だから、今年のように夜温が昨年より早めに下がると、

「今年は思っていたより
早く花芽が来るかも?」

という可能性が出てくるわけです。

じゃあ、この先もどんどん気温は下がる?

ここも、今後の予定を考える上では重要です。

直近の上越市の予報を見ると、9月下旬は最低気温が15〜18℃程度まで下がる日が出てくる予想です。

この気温だけを見ると、促成栽培用苗の花芽分化が進む方向には働きそうです。

ただし。

長めの予報を見ると、話は少し違います。

北陸地方の1か月予報では、平均気温が平年より高くなる確率が60%。

9月19日からの1週目は70%。

9月26日からの2週目も60%。

10月3日以降の3〜4週目も50%で、まだ高温傾向が残る予想です。

短期的には夜が下がる。
でも、秋が一気に深まるとは限らない。

という状況です。

10月も「平年より高い」可能性が少し高い

さらに3か月予報を見ると、北陸地方の10月の平均気温は、

低い 10%
平年並 40%
高い 50%

という予想です。

なので、

「9月後半に冷えてきたから、そのまま10月もずっと涼しくなる。」

とは考えない方がよさそうです。

一度花芽が進み始めても、高温が戻る可能性があります。

だからこそ、

日付ではなく、苗そのものを見る。

というのが大事になってきます。

今のところ、私はこう予想しています

ここまでの気温と今後の予報から考えると、今のところはこんな感じです。

① 冷蔵処理苗

予定より花芽の進みをもう少し待つため、今週頭から今週末方向へ少し後ろ倒し。

② 普通の促成栽培苗

昨年より低い夜温と9月下旬の予報を考えると、当初想定した10月上旬〜中旬より前進する可能性あり。

③ 早ければ

9月末〜10月上旬に定植可能な株が出てくることも想定して準備しておく。

④ ただし決定ではない

長期予報では高温傾向も残っているため、最終的には実際の花芽分化を確認して決める。

つまり、

定植は早まる可能性がある。
だから準備は早める。
でも、苗は確認してから植える。

というのが、今の考えです。

そうなると、怖いのが9月末

冷蔵処理した苗の予定が少し後ろへ。

普通の促成苗の予定が少し前へ。

すると、何が起きるのか。

定植日が近づいてくる(笑)

場合によっては、9月末に両方の定植が近い日程で重なる可能性もあります。

だから、

「10月中旬までに4棟目ができればいい。」

ではなくなってきました。

もし9月末に苗が、

「もう植えていいよ!」

という状態になった時に、

ハウス側が、

「まだ土が入ってません!」

では困ります(笑)

なので、晴れたら4棟目を最優先

ということで、今の優先順位はかなり明確です。

雨の日。

他のハウス。

苗。

書類。

出荷準備。

商談対応。

できることを進めます。

でも、外が乾いて土ほぐしができる状態になったら、

4棟目へGO!

です(笑)

天気によってできる仕事とできない仕事があるなら、

天気が必要な仕事を、できる日に最優先する。

雨でもできる仕事は、その後でもできます。

今はそんな感じで組み直しています。

シーズンOFFなのに、一番忙しい気がする(笑)

いちごは、まだ採れていません。

なので一応、収穫シーズンで考えればOFFです。

「今の時期なら、少しゆっくりできそうですね。」

と思われるかもしれません。

でも実際は……。

たぶん今が一番
バタバタしてます(笑)

定植。

苗。

ハウス。

培地。

書類。

出荷の手配。

商談。

全部が同時進行です。

収穫が始まれば、

「採る」

「パックする」

「お届けする」

という毎日の流れが中心になります。

でも今は、毎日やる仕事が違います。

だから頭の中も忙しいんですよね(笑)

農業の予定表には「日付」だけでは足りない

今回の予定変更を見ていると、農業のスケジュールって面白いです。

普通の予定なら、

「9月30日にこれをする。」

と書けます。

でも農業の場合、

「苗がこの状態になったら。」

「気温がここまで下がったら。」

「晴れて土を触れるようになったら。」

という条件が入ります。

日付で動く仕事

植物を見て動く仕事

天気を見て動く仕事

全部を合わせて予定を作る必要があります。

だから、最初に作った予定通りにいかないのは、ある意味当たり前。

大事なのは、予定を守ることより、

条件が変わった時に、早く予定を書き換えること。

なんでしょうね。

今の予想を、また来週見直す

今の数字だけを見れば、促成栽培用の苗の花芽分化は昨年より早めに進む可能性があります。

でも、今後は気温が再び高めになる予報もあります。

つまり、今日の予想が1週間後も正しいとは限りません。

なので、

苗を見る。

花芽を確認する。

最低気温を見る。

今後の天気予報を見る。

4棟目がどこまで進んだかを見る。

そして、またスケジュールを更新する。

予定を当てることより、
変化へ遅れないこと。

今は、ここが一番大事だと思っています。

まずは、4棟目を仕上げる

いろいろ考えることはありますが、目の前でやることはシンプルです。

晴れたら、土ほぐし。

ほぐしたら、土詰め。

棚を完成させる。

そして苗が植えられる状態にする。

苗が「もう植えていいよ!」
となる前に、
ハウスを完成させておく。

これが今の目標です。

さて。

予定通り10月になるのか。

それとも、本当に9月末まで早まるのか。

もう少し苗と気温を見ながら進めます。

4棟目の定植へ向けて準備を進める苺の花ことばの作業風景

PS:

ここ最近、ホワイトボードの予定を書き換える回数が多いです(笑)

でも、農業なので仕方ないですね。

人間が、

「10月10日に植えるからね!」

と決めても、苗はそんな予定を知りません。

逆に、

苗が準備できても、外がずっと雨ならハウスの準備が進まない。

なので今は、

苗。

天気。

気温。

作業の進み具合。

全部を見ながら調整していきます。

それにしても……。

お願いだから、しばらく晴れてください(笑)

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