冷蔵処理中のいちご苗を見ていて気づいたこと
「設定したから大丈夫」は危ない。
いちご苗の温度チェックから考えた、
失敗が少ない人の仕事の進め方
設定画面は、狙った温度。
でも実際に測ってみると違っていました。
大事なのは「設定」ではなく「結果」なのかもしれません。
この記事の要点
まずは4コマでどうぞ(笑)
設定は合っている。
でも、実際に測ってみると……。

「ん?設定は合ってるのに、ちょっと温度高くない?」
冷蔵処理しているいちごの苗を見に行って、いつものように温度計を確認しました。
まず、冷蔵庫の設定温度を見る。
ちゃんと、狙った温度になっています。
「設定は合ってるよな……。」
でも、苗の近くに置いてある温度計を見ると、
設定している温度より
少し高い。
「あれ?
やっぱり違うな。」
もう一度確認しました。
設定画面を見る。
温度計を見る。
やっぱり、少しズレています。
設定温度と、実際の温度は同じとは限らない
冷蔵庫なら、
「10℃に設定したら、中は全部10℃」
と思いたくなります。
でも、実際の庫内温度は必ずしも完全に一定ではありません。
温度計を置いている場所。
庫内の空気の流れ。
扉の開閉。
冷蔵庫が置かれている場所の気温。
冷蔵庫本体の状態。
温度センサーや温度計の状態。
そういった条件によって、実際の温度には変化が出ることがあります。
特に今は8月。
外はかなり暑い。
冷蔵庫側からしたら、一年の中でも大変な時期ですよね。
設定値は、
「こうしたい」という数字。
実測値は、
「実際にどうなっているか」という数字。
似ていますが、この二つは別なんですよね。
毎日見ていたから「いつもと違う」に気づけた
この時期は暑いので、冷蔵処理している苗の状態と庫内の温度を毎日確認しています。
正直、毎日やることはほとんど同じです。
苗を見る。
温度を見る。
異常がないか確認する。
地味です(笑)
でも、毎日見ているからこそ、
「いつもより、
ちょっと高くない?」
という小さな違いに気づけました。
昨日までの数字を知らなければ、
「こんなものなのかな」
で終わっていたかもしれません。
毎日の確認って、単に異常を探す作業ではないんですよね。
「普通の状態」を知っておくための作業でもある。
普段を知っているから、違いに気づける。
これって結構大事だと思います。
実際の温度を見ながら、設定を修正
ということで、実際の温度を確認しながら、冷蔵庫の設定温度を少し変更しました。
狙っている温度へ近づくように調整します。
そして、また実際の温度を見る。
ここで大事なのは、設定を変えて終わりではないこと。
また温度を見る。
狙った温度へ近づいているか確認する。
必要なら、もう一度修正する。
仕事も「設定した」で終わってはいけない
こういう時に思うのが、
これって農業だけの話じゃないよな、ということです。
仕事では、いろいろな「設定」をします。
機械を設定する。
タイマーを設定する。
自動化を設定する。
メールを予約する。
価格を変更する。
作業手順を決める。
担当者に依頼する。
でも、設定したことと、実際に狙った状態になったことは同じではありません。
「やった」ではなく、
「どうなったか」まで見る。
ここまでやって、初めて一つの仕事が終わる。
そんな考え方の方がいいんじゃないかなと思います。
品質管理でも「計画→実行→確認→改善」が基本
この考え方は、私が勝手にそう思っているだけではありません。
品質管理では、よく、
Plan
↓
Do
↓
Check
↓
Act
というPDCAの考え方があります。
計画する。
実行する。
そして、
実際の結果を確認する。
違っていれば修正する。
ポイントは、Doで終わっていないことです。
今回の冷蔵庫で言えば、
設定温度を入力する。
これは「実行」です。
でも、そのあとに、
「本当にその温度になっている?」
を確認する。
そこでズレを見つけたから、設定を変更しました。
まさに、
設定
↓
実測
↓
比較
↓
修正
という流れです。
温度管理の世界でも「設定」より「実測」
温度管理について調べていて、分かりやすい例がありました。
医療用ワクチンの保管です。
ワクチンは保管温度が重要なので、かなり厳密な温度管理が行われます。
そこで重視されているのも、
「冷蔵庫を何度に設定したか」
だけではありません。
実際にワクチンが保管されている場所の温度を測り、継続して監視することです。
冷蔵庫の中でも場所によって温度差が出ることがあります。
だから、温度計を適切な場所へ置き、実際の温度を記録する。
分野はまったく違いますが、考え方は今回のいちご苗と同じです。
対象が感じているのは、
「設定値」ではなく
「実際の環境」。
苗も同じです。
冷蔵庫の画面に何度と表示されているかではなく、
苗の周りが実際に何度なのか。
そこが大事なんですよね。
では「仕事で失敗が少ない人」は何が違う?
ここも気になったので調べてみました。
まず、勘違いしない方がいいのは、
失敗が少ない人
=
ミスを一切しない人
ではないということです。
人間なので、誰でもミスはします。
経験がある人でも。
仕事が速い人でも。
注意している人でも。
間違える時はあります。
大きな違いは、
ミスやズレが起きた時に、どれだけ早く気づけるか。
そして、
大きな問題になる前に修正できるか。
という部分にあるようです。
失敗が少ない人① 「設定した」を完了にしない
失敗が増えやすい仕事の進め方の一つは、
「やった」
ところで仕事を終わらせることです。
例えば、
「タイマーを設定しました。」
「価格を変更しました。」
「メールを予約しました。」
「機械を設定しました。」
これで終わる。
でも、失敗を減らそうと思ったら、そのあとにもう一つあります。
「で、実際どうなった?」
タイマーは動いた?
価格は実際の販売画面へ反映された?
メールは予定通り送られた?
機械は狙った動きをしている?
そこまで確認する。
完了の基準を、
「設定した」
ではなく、
「狙った結果になったことを確認した」
にするだけでも、かなり違うと思います。
失敗が少ない人② 小さな違和感を無視しない
今回でいえば、
「ちょっと温度が高い気がする」
という程度です。
ものすごく高かったわけではありません。
冷蔵庫が止まっていたわけでもありません。
警報が鳴ったわけでもない。
だから、
「まあ、このくらいならいいか」
と流すこともできます。
でも、大きなトラブルって、最初から大きな異常として出るとは限りません。
最初は、
「なんか違う」
「いつもと少し違う」
という小さな変化だったりします。
大きな失敗を防ぐには、
小さいうちに見つける。
これが重要なんでしょうね。
失敗が少ない人③ 「問題が起きてから見る」ではなく「問題がなくても見る」
これも大きいと思います。
問題が起きたら確認する。
これは当然です。
でも、本当に重要なのは、
問題が起きていない時にも
確認すること。
今回も、苗に何か異常が出てから温度を見たわけではありません。
毎日見ていた。
だから、問題が大きくなる前にズレを見つけられました。
事故が少ない航空や医療などの分野でも、
「何も起きていないから大丈夫」
とは考えず、
小さな異常。
ヒヤリとした出来事。
いつもとの違い。
そういったものを早く見つけることが重視されています。
何も起きていない時こそ確認する。
これが、大きな差になるんだと思います。
失敗が少ない人④ 修正したあとに、もう一度確認する
そして、意外と抜けやすいのがここです。
ズレを見つけました。
設定を変更しました。
「よし、直した!」
で終わる。
でも、これではまだ分かりません。
変更した結果、本当に直ったのか。
を確認する必要があります。
設定
↓
確認
↓
ズレを発見
↓
修正
↓
再確認
ここまでが一つの流れです。
修正後の確認がなければ、
「直したつもり」
になっているだけかもしれません。
失敗が少ない人⑤ 同じ失敗を「仕組み」に変える
そして、失敗が起きた時の対応も違います。
「失敗した。次から気をつけよう。」
これだけで終わると、しばらくするとまた同じことが起きる可能性があります。
人間は忘れますからね(笑)
そこで、
「次から気をつける」
だけではなく、
「どうすれば次から気づける?」
「どうすれば起こりにくくできる?」
と考える。
例えば、今回なら、
毎日実測値を見る。
記録を残す。
いつもよりズレた時の基準を決める。
温度計そのものにも異常がないか確認する。
必要なら別の温度計と比較する。
人が注意するだけではなく、
気づける仕組みを作る。
こうすることで、失敗を経験として次へ残せます。
「失敗する人」と「失敗しない人」で分けない方がいい
今回調べていて、ここは大事だと思いました。
つい、
「あの人はミスが多い」
「この人はミスが少ない」
と、人そのものの問題として考えてしまいます。
でも、本当に見るべきなのは、
その人が、
どんな仕事の進め方をしているか。
なのかもしれません。
失敗が少ない人でもミスはします。
でも、
確認する。
小さな異常に気づく。
早く相談する。
修正する。
もう一度見る。
そして次の仕組みに反映する。
だから、大きな失敗になりにくい。
逆に、
「多分大丈夫」
「いつもこうだから」
「設定したから問題ない」
で確認を止めてしまうと、小さなズレがそのまま残ります。
つまり、能力の差だけではなく、
確認と修正の習慣の差
もかなり大きいんだと思います。
失敗が少ない組織は「小さな失敗」を大切にする
安全性が特に求められる組織について調べると、面白い考え方があります。
大きな事故が少ない組織ほど、
「失敗が起きていないから順調」
とは考えないそうです。
むしろ、小さな異常やヒヤリとした出来事を、
「大きな問題になる前のサインかもしれない」
と考えます。
小さい失敗を、
大きな失敗を防ぐための情報として使う。
ということです。
今回の温度差もそうです。
今すぐ苗がダメになるような大きな異常ではありません。
でも、
「設定と実際がズレている」
という情報が出てきた。
だから、今のうちに修正する。
小さいうちなら、修正も小さくて済みます。
ただし、何でも確認すればいいわけではない
もちろん、全部の仕事を何度も何度も確認していたら、仕事が進まなくなります。
確認にも時間がかかります。
なので、
「チェックを増やせば増やすほどいい」
という話でもありません。
重要なのは、
結果への影響が大きいところを
決めて確認すること。
今回なら、冷蔵処理の温度。
ここは花芽分化に関わる重要な項目です。
だから毎日見る価値があります。
仕事でも同じで、
お客様に届くもの。
売上に直接関わるもの。
安全に関わるもの。
一度間違えると修正が大変なもの。
自動で長期間動き続けるもの。
こういったところは、
「設定後に確認する」
というルールを決めておいた方がいいと思います。
私なりに整理すると、この5段階
今回の温度管理を仕事の流れとして整理すると、こうなります。
① 設定する
どういう状態にしたいのかを決める。
② 実際の状態を見る
設定画面ではなく、現場で何が起きているかを確認する。
③ 理想と実際を比べる
狙った状態とズレていないかを見る。
④ ズレていれば修正する
問題が小さいうちに調整する。
⑤ 修正後にもう一度見る
本当に狙った状態へ近づいたか確認する。
特別難しいことではありません。
でも、
②と⑤が抜けると、
「やったつもり」
「直したつもり」
が増えていきます。
そして、温度計そのものも疑う
もう一つ。
設定温度と実際の温度が違った時に、
「冷蔵庫がおかしい!」
とすぐ決めつけるのも違います。
もしかすると、温度計側にズレがあるかもしれない。
測っている場所が違うだけかもしれない。
一時的に扉を開けた影響かもしれない。
なので、差が続くようなら、別の温度計でも確認する。
測定器自体の状態も見る。
数字が出ているから、
その数字が絶対に正しい。
とも限らない。
「冷蔵庫の設定を疑う」
だけではなく、
「測っている側も大丈夫?」
まで考える。
こういうところも大事なんでしょうね。
苗が感じているのは、設定温度じゃない
ということで、今日も、
苗を見る。
温度計を見る。
設定を見る。
必要なら調整する。
すごく地味な確認です。
でも、冷蔵処理している苗にとって重要なのは、
冷蔵庫を何度に設定したかではなく、
実際に何度の環境にいるか。
です。
仕事でも同じなんでしょうね。
「こうなるように設定した。」
「この方法でやることにした。」
そこがゴールではない。
実際に狙った結果になったのか。
そこまで確認する。
小さな違いに早く気づいて、早く直す。
そうすれば、大きな失敗になる前に対応できます。
PS:
今回の温度差は、毎日見ていたから気づけました。
もし、
「設定したから大丈夫!」
と思って、そのまま何日も見ていなかったら、気づくのはもっと後だったかもしれません。
確認作業って、何も起きなければ、
「今日も異常なし」
で終わります。
だから、無駄に感じることもあります。
でも、100回確認して99回何もなくても、
残りの1回で早く気づけたら、その確認には大きな意味があります。
ということで、明日もまた温度計を見ます。
そして、
「設定したから大丈夫」ではなく、「実際はどうなってる?」を見ていきたいと思います。