定植翌日のハウスで事件発生(笑)
定植翌日のハウスに蝶が侵入(笑)
いちご農家が「かわいい」だけでは
済ませられない理由
外で見ると、かわいい蝶々。
でも、いちごのハウスに入った瞬間、
ちょっと話が変わります(笑)
この記事の要点
まずは4コマでどうぞ(笑)
脚立と箒。
装備だけ見ると、かなり心細いです(笑)
「やばっ!入ってきた!」
「やばっ!
入ってきた!」
ハウスの中で業者さんと打ち合わせをしていると、
ひらり。
ひらり。
何かが飛んできます。
蝶々です。
しかも、
昨日定植したばかりの
いちごハウスの中(笑)
それを見た瞬間、近くにいたクルーへ、
「お願い!捕まえて!」
と頼んで、私はそのまま業者さんとの打ち合わせを続けました。
「今どこにいる?」
しばらくして、打ち合わせが一区切り。
クルーたちのところへ行って、
「今どこにいる?」
と聞くと、
「ハウスの天井近くにいます!」
とのこと。
上を見ると……。
いました。
天井近くの鉄パイプに止まって、優雅に羽を休めています(笑)
ただ、このハウス。
苺の花ことばの中でも、一番背丈が高いハウスです。
普通に箒を持っただけでは、全然届きません。
ということで、脚立を準備します。
脚立+箒。気分はドラクエの初期装備(笑)
脚立の上に立って。
右手には箒。
……。
気分はドラクエの
初期装備です(笑)
武器は箒。
防具は……。
ほぼ無し(笑)
装備としては、かなり心細い。
でも、ここで逃げられたら、またハウスの中を飛び回ります。
逃げる前に、一気にいきます。
「えい!」
箒の先で捕らえて、無事に捕獲です。
ハウスの平和は守られました(笑)
「蝶々かわいそう……。」
って思う方もいるかもしれません。
確かに外でひらひら飛んでいる蝶を見ると、かわいいんですけどね。
ただ、農家としてはハウスの中に入ってきた昆虫を、
「まあ、かわいいからいいか。」
だけでは済ませられないことがあります。
ただし、ここは正確に書いておきます。
すべての蝶や蛾が、
いちごを食べる害虫ではありません。
今回の写真の個体についても、写真だけから「いちごを加害する種類だった」と断定するつもりはありません。
蝶や蛾は種類によって、幼虫が食べる植物が大きく違います。
それでも施設の中では、種類が分からないまま残しておくより、外へ出したり捕獲したりして、産卵の可能性を減らしておいた方が安心です。
いちごで本当に問題になる「チョウ目害虫」がいる
では、いちごではどんな蝶や蛾の仲間が問題になるのか。
実際のいちご栽培で代表的なのが、
ハスモンヨトウ
葉を中心に食害する代表的なチョウ目害虫。イチゴも寄主植物の一つです。
オオタバコガ
新葉や花のつぼみ、果実などへ食入することがあり、イチゴでも注意されている害虫です。
ヨトウガ・シロイチモジヨトウなど
幼虫が葉を食害するチョウ目害虫で、施設園芸でも問題になります。
特に「ヨトウ」と名前がつく仲間は、成虫になると蛾です。
つまり、
「蝶々だけ警戒すればいい」
という話ではありません。
農家が警戒しているのは、蝶や蛾を含むチョウ目の害虫です。
もしハスモンヨトウが産卵すると、どうなる?
例えば、いちごでも問題になるハスモンヨトウ。
成虫が侵入して葉へ産卵すると、数百個の卵がまとまった卵塊を作ることがあります。
つまり、
成虫1匹を見逃す
↓
産卵される
↓
たくさんの幼虫が一気に孵化
という可能性があるわけです。
もちろん、成虫1匹が入ったから必ず産卵するわけではありません。
でも、産卵されてしまった場合、問題はそこから始まります。
最初は「葉っぱが透ける」
ハスモンヨトウの幼虫は、孵化したばかりの頃は集団で行動します。
そして葉の表面を全部食べてしまうのではなく、表皮を一部残しながら葉肉を食べます。
すると、葉が、
白っぽく、
半透明に透けたようになる。
これが若齢幼虫による特徴的な食害です。
「葉っぱの色が抜けた?」
というような見え方をします。
この段階では、幼虫がまだ一か所にまとまっていることが多い。
なので、早く見つけられれば被害を小さい範囲に抑えやすい時期です。
大きくなると、今度は分散して食べ始める
ところが、幼虫が成長すると状況が変わります。
最初はまとまっていた幼虫が、周りの株へ分散していきます。
そして食べる量も増えます。
葉に大きな穴が開いたり。
別の葉へ移動したり。
被害範囲が広がっていきます。
小さい幼虫を1か所で見つける段階から、
大きな幼虫を何株も探す段階へ。
こうなると厄介です。
さらにハスモンヨトウは、幼虫が大きくなるほど薬剤が効きにくくなることも知られています。
なので農業では、
「幼虫が小さいうちに見つける」
ことが非常に重要になります。
定植したばかりのいちごで葉を食べられると?
そして今回のハウスは、定植した翌日です。
まだ苗は小さい。
葉の枚数も、これから株が大きくなった時ほど多くありません。
この時期の葉は、これから根を張って株を大きくしていくための大切な光合成器官です。
そこを幼虫にたくさん食べられると、
光を受ける葉の面積が減る。
新しい葉を作るためにも余計なエネルギーが必要になる。
被害が大きければ、初期生育へ悪影響が出る可能性があります。
植えたばかりだからこそ、
今ある葉をできるだけ健全に残したい。
ということです。
もちろん葉を少し食べられただけで、すぐ株がダメになるわけではありません。
問題は、産卵に気づかず幼虫が増え、食害が広がってしまうことです。
もっと怖いのは、花や果実へ入るタイプ
そしてチョウ目害虫の中には、葉だけを食べるものばかりではありません。
例えばオオタバコガ。
若い幼虫は、新しく展開している葉や花のつぼみへ潜り込むことがあります。
さらに大きくなると、果実や茎の内部へ食入することがあります。
いちごで考えると、
花芽を食べられる
↓
本来咲くはずの花へ影響
果実へ食入される
↓
穴や食害、虫糞が残り商品にならない
という、直接的な被害につながります。
そして、さらに厄介なのが、
植物の中へ潜り込んでしまうこと。
果実や花芽の内部へ入ると、外から見つけにくくなります。
薬剤も幼虫へ直接届きにくくなるため、防除も難しくなります。
だから、こちらも小さい幼虫の段階で見つけることが大切です。
「1匹くらいならいいか」が怖い理由
農家が成虫1匹を見つけただけで気にする理由は、
その虫1匹が葉っぱを食べるからではありません。
成虫の蝶や蛾は、基本的に幼虫のようにいちごの葉をバリバリ食べません。
怖いのは、
そのあとに
「産卵」があるかもしれないこと。
です。
ハスモンヨトウの場合、一つの卵塊に数百個の卵が含まれることがあります。
そして孵化すれば、その数だけ幼虫が出てくる可能性があります。
だから、
「蝶が1匹入った。」
ではなく、
「産卵する可能性のある成虫が施設内へ入った。」
と考えるわけです。
実際、研究でも「成虫を入れない」ことの効果は大きかった
これについて面白い研究があります。
農研機構では、イチゴハウスへ飛んでくるハスモンヨトウを、超音波を使って近づきにくくする研究を行っています。
なぜ幼虫ではなく、成虫の飛来を防ぐのか。
その理由は、
成虫が入らない
↓
卵を産まれない
↓
幼虫が発生しない
という流れを作れるからです。
実際のイチゴ栽培施設で、超音波を使ってハスモンヨトウの飛来を抑えた試験では、卵塊数を90%以上減らせた例があります。
さらに、ハスモンヨトウに対する殺虫剤の散布回数も、4回から1回へ減らせました。
つまり、
幼虫が出てから戦うより、
そもそも産卵させない。
この方が効率的なんですよね。
放っておくと、こんな順番で被害が大きくなる
今回調べた内容を、ハスモンヨトウを例にまとめると、こんなイメージです。
成虫がハウスへ侵入
↓
葉などへ産卵
↓
数日後、幼虫が孵化
↓
若齢幼虫が集団で葉を食べる
↓
葉が白っぽく透けたようになる
↓
幼虫が成長
↓
周囲の株へ分散
↓
葉の穴・食害範囲が拡大
↓
大きな幼虫になるほど防除しにくくなる
だから、
卵塊を見つけた段階。
若い幼虫が集団でいる段階。
できれば、そこよりさらに前の、
成虫が侵入した段階。
早いほど対処しやすいということです。
しかも今は、ちょうど注意したい季節
今回の出来事は9月。
実は、ハスモンヨトウなどのチョウ目害虫は、夏の終わりから秋に発生が増えやすい種類があります。
ハスモンヨトウは、世代を重ねながら夏から増え、秋に多くなる傾向があります。
つまり、
「定植したばかり」
と
「チョウ目害虫が増えやすい時期」
が重なります。
まだ苗が小さいこの時期だからこそ、葉の裏や新芽を見ながら、食害が出ていないか確認していきます。
なので「蝶々=敵」という話ではありません
ここまで書くと、
「蝶を見つけたら全部退治しないと!」
という話に見えるかもしれません。
でも、そうではありません。
蝶や蛾にはものすごく多くの種類がいて、それぞれ幼虫が食べる植物も違います。
いちごを食べない種類もたくさんいます。
なので、
蝶々=害虫
ではありません。
今回の蝶も、実際にいちごへ産卵する種類だったかまでは分かりません。
ただ、ハウスという限られた空間の中では、
「たぶん大丈夫だろう。」
と残しておくより、外へ出したり捕獲したりして、リスクを小さくしておく。
農家としては、そういう判断になります。
ということで、脚立と箒で無事解決(笑)
外にいれば、
「蝶々飛んでるな〜。」
で終わります。
でも、昨日植えたばかりのいちごの真上を飛んでいるとなると、話は別です(笑)
ということで、
脚立。
箒。
という初期装備で無事に捕獲。
昨日植えたばかりの
越後姫を守り、
ハウスの平和は守られました(笑)
ただ、これからも別の虫が入ってくる可能性はあります。
なので、苗を見ながら、葉の裏も確認しながら、次のシーズンへ向けて育てていきます。
今シーズン最初の越後姫
「初物早期予約」受付中です
昨日定植したばかりの小さな苗ですが、順調に育てば、この苗から今シーズン最初の越後姫を収穫します。
今回は、ご希望に合わせて3つの商品をご用意しています。
初物早期予約①
自宅用いちご越後姫
もぐもぐパック 2パック
通常価格 税抜3,484円
↓ 早期予約価格
3,300円(税込)
初物早期予約②
自宅用いちご越後姫
もぐもぐパック 1パック
1パックでのご注文、または2パックより多く注文される方はこちらです。
通常価格 税抜1,204円
↓ 早期予約価格
1,000円(税込)
初物早期予約③・先着10名様
自宅用いちご越後姫
もぐもぐパック1パック定期便
今シーズンから、越後姫を定期的に楽しみたい方のための定期便もご用意しました。
初回
900円(税込)
税抜833円
2回目以降
1,200円(税込)
税抜1,111円
お届け間隔:2週間・3週間・4週間からお選びいただけます。
※別途、クール便送料がかかります。
※定期便は先着10名様です。
※定期便の早期受付は9月15日までです。
※10名様に達した場合は、9月15日より前に受付を終了します。
PS:
外で見たら、
「あっ、蝶々だ。」
で終わるんですけどね。
昨日定植したばかりのハウスの中だと、
「やばっ!捕まえて!」
になります(笑)
ちなみに今回調べてみたら、すべての蝶々がいちごの害虫というわけではありませんでした。
なので正確には、
「かわいい蝶々が敵」ではなく、「ハウス内で産卵されて幼虫が増えるリスクは持ち込まない」
ということですね。
ということで、これからもハウスの中を飛ぶものには、ちょっと敏感になりそうです。
脚立と箒は、すぐ取れるところに置いておこうかな(笑)