時間は平等ではない。経営者ほど「期限」を先に決める理由。

「まだ寝たくない!」から考えた

時間ができたらでは動けない。
経営者が「期限」を先に決める理由

人は、時間があるから行動できるわけではありません。
むしろ期限がないほど、後回しにしてしまいます。

この記事の要点

人は、将来の利益よりも目の前の楽しさを優先しやすい
期限がない仕事は、重要でも後回しになりやすい
経営者は、時間を使う前に「何を、いつやるか」を決める必要がある

「まだ寝たくない!」から始まった話

「さあ、寝る前の歯磨きの時間だよ!」

そう子ども達に声をかけると、近くにいた下の子のことはが、身体を縦に揺らしながら泣き顔になりました。

「まだ早い!
寝るのまだ早い!
もっと遊びたい!」

「まだ寝たくないよね。でも、もう寝る時間だからね」

「時間は、何かしていても、何もしていなくても、勝手に進んでいくんだよ」

そう話してみましたが、もちろんそんな話は全く耳に入っていません。

返ってくるのは、

「まだ寝たくない〜!」

という言葉だけです(笑)

まあ、そうですよね。

私も子どもの頃、ことはと同じくらいの年齢の時に、夜9時から放送していたとんねるずの番組を見たかった記憶があります。

チビノリダーを見たかったのに、父親から「寝ろ!」と言われて、渋々布団に入っていました(笑)

あの頃は、

「なんで寝ないといけないの?」

「まだ時間はあるじゃん」

と、本気で思っていました。

子どもの頃って、時間が無限にあるように感じるんですよね。

大人になると分かる、時間の本当の価値

でも、大人になると分かります。

時間は、何もしなくても減っていく。

しかも、お金とは違って、過ぎた時間は二度と戻ってきません。

売上は、次の月に取り返せるかもしれません。

失敗した仕事も、やり直せることがあります。

でも、昨日の1時間を今日に持ってくることはできません。

経営とは、限られた時間を
どこに使うかを決める仕事でもあります。

どの商品を伸ばすのか。

どこに投資するのか。

誰と働くのか。

何をやめるのか。

経営判断の多くは、言い換えると「会社の時間を何に使うか」を決めることです。

お金は借りることもできますが、時間を借りることはできません。

だから経営者ほど、時間の使い方を慎重に考える必要があります。

なぜ人は、やるべきことを後回しにするのか

行動心理学には、現在バイアスという考え方があります。

人は、将来得られる大きな利益よりも、今すぐ得られる小さな楽しさや楽さを優先しやすいという傾向です。

例えば、

資格の勉強
運動やダイエット
新しい事業の準備
ホームページの改善

どれも、やった方が良いことは分かっています。

でも、今日やってもすぐに結果が出るわけではありません。

すると人は、

「明日でいいか」

「来週やろう」

「時間ができたら始めよう」

と考えます。

ところが、明日になれば別の仕事が入る。

来週になれば、また新しい予定が入る。

そして「いつかやろう」と思っていたことは、結局やらないまま終わることが多い。

私にもあります。

今やれば終わると分かっているのに、別の仕事を始めたり、急に机の上を片付け始めたりする(笑)

人間は、重要だから動くのではなく、締切が近いから動くことが多いのかもしれません。

「時間がある」だけでは、人は行動しない

時間がないから行動できない。

そう考えがちですが、実際には時間があっても人はなかなか動きません。

むしろ期限がないほど、行動の優先順位は下がっていきます。

夏休みの宿題が、休みの終わりまで残る。

確定申告を、締切直前になって始める。

提出日が決まった瞬間に、急に仕事が進み始める。

こうした経験は、誰にでもあると思います。

やりたいことがあるなら、
「時間ができたら」ではなく
「いつやるか」を先に決める。

期限を決めると、頭の中で曖昧だったことが予定になります。

予定になると、初めて行動の対象になります。

経営者の仕事は、やることを増やすだけではありません。

いつまでに何を終わらせるのかを決めて、会社の時間に区切りをつけることも大切です。

一番大きな後悔は、失敗ではなく「やらなかったこと」

失敗するのは怖いです。

時間を使って、思った結果が出なかったらどうしようと考えることもあります。

でも、やって失敗したことは経験として残ります。

次はこうしようと、修正することもできます。

一方で、やらなかったことには結果がありません。

残るのは、

「あの時やっていたら、どうなっていただろう」

という気持ちです。

何もしなければ失敗しません。

でも、未来も変わりません。

行動しないことは、失敗を避けることではなく、
可能性を自分で閉じることでもあります。

農業は、後回しの結果が未来に出る仕事

苗の管理も同じです。

今日やらなくても、明日すぐに大きな変化が出るとは限りません。

葉欠きを1日遅らせたからといって、その日に苗が枯れるわけではない。

でも、小さな後回しが積み重なると、数週間後、数か月後に結果として出てきます。

苗が徒長する。

病害虫が増える。

クラウンが十分に太らない。

収穫量や品質に影響が出る。

その時になって、

「あの時やっておけば良かった」

と思っても、時間は戻せません。

農業は、未来の収穫のために、今やるべきことを積み重ねる仕事です。

だからこそ、目の前で急いでいる仕事だけではなく、後から大きな差になる仕事を先に予定へ入れる必要があります。

生産性を上げる前に、方向を決める

限られた時間を有効に使うためには、生産性を高めることも大切です。

ただし、その前に決めなければならないことがあります。

何をやるのか。

どこへ向かうのか。

間違った仕事を効率化すると、間違いが速いスピードで増えていきます。

利益の出ない商品を、今までより速く作る。

お客様に求められていないサービスを、効率よく提供する。

必要のない作業を、誰よりも早く終わらせる。

これでは、生産性を上げるほど損失が増えてしまいます。

経営で大切な順番

  1. 何をやるか、方向を決める
  2. いつまでにやるか、期限を決める
  3. その仕事の生産性を高める

経営者の一番大切な仕事は、現場の作業を誰よりも速くすることではありません。

会社がどこへ向かうのかを決めることです。

方向が決まって初めて、時間の使い方と生産性に意味が生まれます。

後回しを減らすために、私が意識したいこと

1.期限を数字で決める 「今月中」ではなく、「7月20日まで」のように、具体的な日付を入れます。
2.重要な仕事を先に予定へ入れる 空いた時間でやるのではなく、先に時間を確保します。
3.最初の行動を小さくする 完成させようとせず、資料を開く、数字を確認するなど、最初の一歩だけを決めます。
4.やらないことも決める 時間は増えないので、本当に必要なことへ集中するために、やめる仕事も決めます。

時間の価値は、未来を変えられること

時間が大切なのは、時間そのものが高価だからではありません。

その時間を使って何をしたかで、未来が変わるからです。

今できることは、今やる。

ただし、何でも詰め込むのではなく、本当に必要なことを見極める。

そして、時間ができるのを待たずに、いつやるのかを決める。

経営でも、仕事でも、苗づくりでも、この順番が大切なのだと思います。

……。

と、ことはにここまで話しても、返ってきた言葉は、

「まだ寝たくない!」

でした(笑)

まあ、今はそれでいいか。

いつか大人になった時に、少しでも思い出してくれれば十分です。

PS

結局、歯磨きを終えた後も、

「あと1回だけ遊ぶ!」

と言っていました。

この「あと1回」が、なかなか終わらないんですよね(笑)